
5−3−3. まとめ
調査結果を整理して以下に列記する。
1)駐車場から水辺が認識できる場所までの移動(後浜の移動)のし易さでは海水浴場、親水護岸共に70%以上であり移動し易いと評価している。一方、海水浴場での前浜での移動のし易さでは、半数以上が移動しにくいと解答している。
2)駐車場から水辺が認識できる場所までの移動時における安全性では、海水浴場、親水護岸共に80%以上が安全であると高く評価していることがわかる。一方、前浜での移動時における安全性では介助者が付いているにもかかわらず8人(40%)が危険であると解答している。
3)後浜および前浜での行動に伴なう阻害感情では、全ての項目で何らかの阻害感情が示されている。バスの乗降り、公園内のスロープでは「怖い」という感情が強く、管理の行き届いていないトイレの利用では「怖い」と「面倒」が特に強く表れている。同様に、砂浜の上での行動では「疲れる」「危険」に対する阻害感情が強い。
4)海辺・水辺を訪れたときに非常に重要な施設として「トイレ」「駐車場」「水飲み場」があげられ、「休憩所」「ベンチ」「遊歩道」「緑地」「案内地図」等はやや重要であると評価されている。これに対し、片瀬西浜海水浴場の利便施設に対する満足度では「トイレ」「案内地図」「ベンチ」といった利便施設に対して比較的強い不満度が表れていることがわかる。
5)海へ「ぜひ行きたい」「機会があれば行きたい」と解答した人は全体の7割を占め、「海にもっと近づきたい」「眺めるだけでなく海水に触れたい」では8割と海への接近・接触を強く求めていることがわかる。一方、ハードおよびソフト整備の必要性では「海水浴場でのボランティアによる介助」に対する要望が17件(37%)と多く、次いで、「標準型の車椅子でも移動のできる砂浜の砂の整備」があげられている。
以上のことより、移動障害者にとって心理的に障害・障壁と感じる場所は利便施設(トイレ)や前浜の砂浜であることがわかった。移動障害者は海岸施設の利用に対し何らかの阻害感情を有しているが、それ以上に海に対する興味・関心が高いことが把握できる。
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